カナダのコミュニティカレッジ徹底解説!コース、進学条件、進路、メリット・デメリット
海外の進学制度は日本と大きく異なるのはご存じでしょうか?そのひとつにコミュニティカレッジがあります。
カナダを含む北米ではコミュニティカレッジは現地で一般的な進学方法。進学先を日本から海外に広げたら、コミュニティカレッジの特徴は必ずおさえておく必要があります。
今回はカナダのコミュニティカレッジについて、特徴や学べること、費用、進学条件、卒業後の進路、そしてメリット・デメリットまで徹底解説します。
カナダ以外の国で海外進学を検討している人も、コミュニティカレッジについては知っておくべきですので、海外進学希望者全員が必見の内容です。ぜひ、ご覧ください。
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コミュニティカレッジって何?
コミュニティカレッジは4年制大学への編入もできるため、日本でいう短大のイメージを持っている人が多いですが、特徴でいうと専門学校に近いです。
大学への編入は可能なのですが、学ぶことは専門的な要素が多く、修了しても必ずしも「準学士号」がもらえるわけではありません。
カナダのコミュニティカレッジのほとんどは各州が運営している公立カレッジです。公立カレッジの数はカナダ国内で120以上。私立のカレッジもありますが、現地では公立の学校というイメージが強いです。
コミュニティカレッジの2つのコースと英語力不足の場合コースは大きく分けて2つ。4年制大学を目指す「大学編入コース」と就職を目指す「職業訓練コース」です。
コース①:「大学編入コース」
大学1、2年時に学ぶ教養課程を学び、4年制大学への編入を目指すコース。一定の成績を納めることで4年制大学への編入が実現できます。コミュニティカレッジによって進学先との提携や実績があり、進学に有利になる場合があります。
すでに進学したい4年制大学がある場合は、コミュニティカレッジの進学先実績や提携がないか確認することをおすすめします。
コース②:「職業訓練コース」
技術系でいえば簿記、美容、料理、車の整備。専門系でいえば看護、教員など将来の就職に向けてさまざまなコースがあります。
コースによって履修期間が大きく異なり、1年以内の短期の場合はCertificate(サーティフィケート)、1年を超える場合はDiploma(ディプロマ)という修了証をもらえるケースが多いです。
指定のコミュニティカレッジのコースや大学を卒業すれば、現地で通称ポスグラと呼ばれているPGWP(ポストグラジュエーション・ワークパーミット)を申請することができます。
ポスグラは雇用主を指定しないワークビザで、最長3年間。原則学生ビザで就学した期間と同じ期間でビザが発行されます。
ポスグラを利用することでカナダでの現地就職や永住権の可能性が広がるため、将来の現地就職・永住狙いでコミュニティカレッジに進学する留学生も多いです。
英語力が不足している場合、「英語コース」も選択可
コミュニティカレッジは専門的な内容を英語で学ぶため、ある程度の英語力が求められます。コミュニティカレッジによりその基準は異なり、どの学校もホームページに明記しています。
英語力が不足している場合でもコミュニティカレッジ入学をあきらめる必要はありません。多くのコミュニティカレッジでは、進学に必要な英語力を補うための英語コースを開設しています。
コミュニティカレッジが行っているテストを受けて英語力を測るか、自分が持っているIELTSやTOEFLのスコアによって、コミュニティカレッジに進学するまでの英語コースの週数を判断することができます。
また、コミュニティカレッジ併設の英語コースではなく、私立の語学学校の進学コースからコミュニティカレッジへ進学することも可能です。多数のコミュニティカレッジと提携している語学学校もありますので、英語力が不足している人は検討してみるとよいでしょう。
カナダのコミュニティカレッジで学べること
コミュニティカレッジで学べることは大きく分けるとホスピタリティ系、ビジネス系、IT系の3つになります。そして、学べる分野は多岐にわたります。以下、コミュニティカレッジの専攻を一例として紹介します。
ホスピタリティ系
- 観光(ツーリズム)
- ホテルマネジメント
- 看護
- 医療
- 美容師
- 保育
- CA(キャビン・アテンダント)
ビジネス系
- ビジネスマネジメント
- セールスマーケティング
- 秘書
- 法律
- 会計
IT系
- IT(インフォーメーション・テクノロジー)
- グラフィックデザイン
- WEBマーケティング
- DTP(デスクトップ・パブリッシング)
そのほか
- 農業
- 生物
- ダンス
- 音楽
- 天文学
- 機械工学
- 保育
- 造園
- 環境デザイン
- 建築
- 電気工事など
専攻を選ぶうえで1点注意点があります。それは、専攻によっては大学への単位移行が認められない場合があるということです。そのため、4年制大学への編入を考えている人は特に、専攻は慎重に選ぶようにしてください。
カナダのコミュニティカレッジの入学時期、期間、条件
進学制度は国により異なり、日本とカナダの進学制度も異なります。ここではカナダのコミュニティカレッジの入学時期、期間、そして入学条件を見てみましょう。
入学時期
日本では4月入学が一般的ですが、カナダやアメリカなどの北米では9月入学が一般的です。また、2学期制や3学期制をとっているコミュニティカレッジがほとんどで、2学期制の場合は9月、1月。3学期制の場合は5月、9月、1月入学が一般的です。
就学期間
日本では就学期間は専門学校で1年または2年と決まっていますが、カナダのコミュニティカレッジはコースによってさまざまで、もっとも多い就学期間は2年。コースによっては6ヶ月〜3年になります。
入学条件
カナダのコミュニティカレッジは学校により入学条件が異なりますが、ほとんどのコミュニティカレッジで求められるのは以下4つです。
≪カナダのコミュニティカレッジの入学条件≫※学校により異なる
- 英語力を証明するスコア
- 高校卒業証明
- 成績証明(過去3年)
- エッセイ
※上記4点はすべて英文で提出
入学条件①:英語力を証明するスコア
求められる英語力のスコアはコミュニティカレッジによって異なります。また、同じコミュニティカレッジであっても専攻によって異なってきます。
ほとんどのコミュニティカレッジでTOEFLもしくはIELTSのスコアが求められ、TOEICのスコアが認められることはあまりありません。
求められるスコアは平均的にはTOEFL iBT80もしくはIELTS6.0程度。前述の通り、スコアが不足している場合、英語コースから編入できるコミュニティカレッジもあり、私立の語学学校から編入する方法もあります。
入学条件②:高校卒業証明
コミュニティカレッジに入学するには、日本の高校で構いませんが高校を卒業している、もしくは卒業見込みであることの証明を提出する必要があります。また、高卒認定も高校卒業証明として認められます。
日本で大学や専門学校を卒業している場合は、最終学歴の証明書になりますので、高校卒業証明ではなく、最終的に卒業した学校の証明書を提出しなければいけません。
入学条件③:成績証明(過去3年)
高校卒業証明以外に、過去3年の成績証明の提出も求められます。高校卒業後または卒業見込みの人は高校在学中の成績ということになります。
5段階評価で3.0以上あるのが望ましいですが、3.0より低いからといって入学できないという意味ではありません。自分が希望するコミュニティカレッジの入学条件をチェックするようにしましょう。
成績があまりにも悪いと進学先が限られてしまいますので、在学中で将来海外進学を目指している人は、一定の成績をとれるように日本での学業にも励むようにしてください。
入学条件④:エッセイ
なぜその学校でそのコースを希望したのか、英文でのエッセイ提出を求められる場合があります。日本の試験と違い、試験日の一発勝負ではないので、提出するまで十分な時間があります。自分の思いを伝えられるように、志望理由を整理してエッセイにできるようにしておきましょう。
上記4つ以外にも、コミュニティカレッジによっては別途適正試験や面接が行われる場合もあります。詳細は各コミュニティカレッジのホームページか留学エージェントに確認するようにしましょう。
カナダのコミュニティカレッジの費用
カナダのコミュニティカレッジの費用は平均すると1年間で120〜150万円程度。もっとも安い学校でも年間100万円近くかかります。日本の私立大学の学費と同等かそれ以上のため、公立カレッジという割に高いという印象の人もいるかもしれません。
しかし、地元のカナダ人と私たち外国人では設定されている学費が異なりますので、公立カレッジとはいえ、それくらいの費用はかかってきます。カナダの4年制大学の場合、1年間の学費は250〜450万円くらいになりますので、4年制大学と比較した場合、かなり割安といえます。
カナダ留学ではコミュニティカレッジの学費以外にも、生活費・航空券代・ビザ申請料・保険代・家賃などが別でかかってきますので、トータル費用としては年間350〜450万円は見ておく必要があります。
カナダのコミュニティカレッジでは就学中に週20時間まで就労が可能ですので、生活費を浮かすことと経験のためにアルバイトをするのもよいと思います。しかし、アルバイトに夢中になりすぎて、卒業できなかったら本末転倒ですので、就学と就労のバランスは気をつけるようにしましょう。
カナダのコミュニティカレッジ卒業後の3つの進路
カナダのコミュニティカレッジ卒業後の進路は大きく分けて3つ。「大学編入」、「現地就職」、「帰国」です。
進路①:大学編入
コミュニティカレッジ卒業より4年制大学卒業のほうが就職に有利で、生涯年収が高くなりやすいのは日本もカナダも一緒です。そのため、コミュニティカレッジ卒業後は4年制大学に編入する人が多いです。
大学編入については、コミュニティカレッジ在学中の成績でほぼ決まります。そのため、コミュニティカレッジ在学中はしっかり勉強して、希望の大学に入れる成績を納めるようにしましょう。
進路②:現地就職
コミュニティカレッジのコース紹介の際にお伝えしたように、カナダにはPGWP、通称ポスグラという制度があり、カナダで8ヶ月以上のフルタイム就学(語学学校は除く)、公立または政府指定私立の大学、大学院、カレッジを卒業する事で、雇用主を指定しない就労ビザを申請することができます。
4年制大学はコミュニティカレッジと比較して学費が高く、時間もかかるため、大学には編入せずにカナダでの現地就職や永住権を狙う人もいます。
4年制大学より確実性は下がりますが、ポスグラを利用して現地就職や永住権を取得した留学生もたくさんいますので、留学生にとってはチャンスが広がるビザといえます。
コミュニティカレッジ在学中は週20時間まで就労できますので、卒業後に現地就職を狙っている人は、在学中からコネクションを作る意味でも現地で働きながら勉強することをおすすめします。
進路③:帰国
卒業後帰国し、日本で就職する人もいます。カナダのコミュニティカレッジ卒業というのはひとつの資格を得たのと同じことですので、日本での就職にも十分活かせます。
海外のコミュニティカレッジを卒業している=仕事をするうえでの英語力は問題ない、と判断されますし、学んできた内容を帰国後の就職活動でアピールすることが可能です。
最近は就職活動でのオンライン面接が一般的になりましたので、卒業前に現地から就職活動するのも問題なくできます。
カナダのコミュニティカレッジの3つのメリット
次にコミュニティカレッジのメリットについてみてみましょう。
メリット①:現地カナダ人とのコネクションができる
語学学校は生徒の100パーセントが留学生ですが、コミュニティカレッジは生徒のほとんどが地元のカナダ人です。学校にもよりますが、平均80〜90パーセントはカナダ人ですので、ネイティブと関わる機会が増え、英語力を向上させる環境が自然に作れます。
また、地元のカナダ人ならではのコネクションがあったりするので、人脈が広がってくるとアルバイト先や就職先が紹介で見つかることもあります。
英語力、人脈のほか、現地の文化や考え方をダイレクトで感じることができますので、大きなメリットといえます。
メリット②:現地就職に強い
コミュニティカレッジには職業訓練コースがあり、卒業後に就職を希望している学生も多く、学校自体が就職先のコネクションを多く持っています。
就職希望の学生からの相談を含むサポート全般も充実していますので、現地就職を狙っている人にとっては恵まれた環境といえます。
メリット③:4年制大学にストレートで進学するより学費が安い
4年制大学は1年時から学費が高いため、4年制大学の卒業を目標としている現地の学生も、学費をおさえるためにコミュニティカレッジから進学している人が多いです。
一部の名門大学や専攻によっては4年制大学へのストレート入学のほうが有利な場合もあるので、名門大学やマニアックな専攻を希望している人は気をつけて下さい。
カナダのコミュニティカレッジの3つのデメリット
次にカナダのコミュニティカレッジのデメリットについて見てみましょう。
デメリット①:他国より入学で求められる英語力が高め
カナダは世界的にも教育レベルが高い国として知られています。その分学ぶことは専門的で、内容が濃いことも英語で学ばなければいけないため、入学で求められる英語力のスコアがほかの国より少し高めに設定されています。
しかし、このことはカナダのコミュニティカレッジで学べることは内容が良く、入学した後も学びやすい環境であるということの証拠ともいえます。
どの国に行ったとしても英語力が低いと自分が学びたい分野に集中できませんので、その部分は仕方ないと思って、自身の英語力を高めることに集中しましょう。
デメリット②:公立カレッジはローカル優先
カナダのコミュニティカレッジは各州が運営している公立カレッジがほとんどです。公立カレッジはその州に住む人のために設立されたものになりますので、留学生と現地に住むローカルの地元民を比較した場合、地元民の入学を優先させます。
ほとんどの州、都市のコミュニティカレッジは積極的に留学生の受け入れをしていて、留学生だからといって極端に不利になることは減りましたが、留学生の受け入れを限定しているコミュニティカレッジも一部あります。
また、カナダのコミュニティカレッジに限ったことではありませんが、現地のカナダ人と留学生では学費の設定が違いますので、そこも覚えておくとよいでしょう。
デメリット③:卒業するのは楽ではない
カナダのコミュニティカレッジは日本のような受験ではなく、入学条件をクリアした書類を提出さえすればほとんどの場合入学できます。
しかし、海外は入学は楽でも卒業するのは大変というのは有名な話で、カナダのコミュニティカレッジも例外ではありません。
在学中は一定の出席率と成績がとれないと、規定の期間で卒業できないだけでなく、最悪退学になることもあります。
海外で進学するということはそういうことだ、と覚悟を決め、在学中は勉学に励むようにしましょう。
まとめ
カナダのコミュニティカレッジについて入学条件や時期、コース、費用、進路、メリット、デメリットなど詳しくお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
カナダのコミュニティカレッジは学ぶ分野が広く、現地就職や大学進学につながることが理解できたと思います。
生活費を含めた費用はある程度かかってしまいますが、4年制大学と比較すれば割安です。現地で就労し生活費を補うこともできますので、工夫次第では費用を工面することもできます。
費用以外にも、英語力や在学中の高校での成績も必要になってきますので、将来的にコミュニティカレッジへの進学を考えている人はできるだけ早い準備をしなければいけません。
カナダのコミュニティカレッジは、その後の大学進学、就職など自分の人生を大きく変える分岐点になります。本記事を参考に、カナダのコミュニティカレッジ進学をぜひ実現させましょう!
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