IELTSの勉強法を初心者向けに解説|始め方・学習期間・教材の使い分け
IELTSの勉強法は、周囲に聞ける相手が少ないと感じる方も多いのではないでしょうか。何から始めればよいか決められないまま、気がつけば参考書だけが手元に増えていく状態は、ご自身の現在地を正確に把握できていないことが原因で起こります。
まずは今の実力を確認し、目標スコアから逆算して4技能に学習時間を配分すれば、今日取り組むべき内容が自然と見えてくるでしょう。
この記事では、勉強の始め方や技能ごとの最初の一手、必要な学習期間と学習量、教材の選び方、そして独学の限界について詳しく解説します。 自分に合った進め方を見つけ、今日から学習をスタートさせましょう。
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IELTSの勉強法は現在地の把握から始める4段階

IELTSの勉強を始める際、いきなり教材選びから始めるのは避けましょう。自分に必要な技能や学習の分量が分からないままでは、こなすべき課題が増えるばかりです。
効果的な勉強の順番は「現在地を測る」「目標を決める」「逆算して時間を配分する」「毎日の土台をつくる」の4段階です。この手順を終えた時点で、1日に取り組むべき学習量が明確になります。
- ①公式問題集で現在のバンドスコアを測る
- ②出願先の要求スコアから目標を決める
- ③試験日から逆算して学習時間を配分する
- ④語彙と文法の学習を毎日の習慣にする
①公式問題集で現在のバンドスコアを測る
勉強を始めるにあたって最初にやるべきことは、公式問題集の模擬試験を1回分解くことです。必ず本番と全く同じ時間配分で取り組みましょう。模試に使う公式問題集を持っていなければ、まずは1冊用意してください。(具体的な教材の選び方については、後ほど詳しく解説します)
本番の試験時間は、リスニング約30分、リーディング60分、ライティング60分、スピーキング11〜14分です。全体を通すと2時間45分にも及びます。本番と同じ時間枠で解き切る経験をしておかなければ、失点の原因が時間切れなのか実力不足なのかを正確に区別できません。
自分で採点できるのは、正答がはっきりしているリスニングとリーディングのみです。ライティングとスピーキングは観点別の評価が入るため、自己採点はできません。測定した日付とスコアはしっかりと記録しておきましょう。その後は1か月ごとに同じ手順で測り直し、実力の推移を確かめることが大切です。
②出願先の要求スコアから目標を決める
IELTSの目標スコアは、ご自身の希望やキリの良さで決めるものではありません。
出願先の大学や大学院、あるいはビザ申請などの要求値から逆算して設定します。IELTSのスコアは1.0から9.0までのバンドスコアで示されます。4技能ごとの技能別スコアと、それらを統合したOverall(総合)スコアが算出され、Overallスコアは4技能の平均値となります。
そのため、1つの技能だけを極端に伸ばしても平均値は動きにくくなります。目標はOverallスコアと技能別スコアの両方で設定する必要があります。
また、出願先によってはOverallの基準値に加えて、技能ごとの下限が定められている場合もあります。募集要項で必ず両方の条件を確認しておきましょう。出願先が複数ある場合は、最も高い要求値を全体の目標に据えます。
関連記事:IELTSのスコアの仕組みとは?4技能の採点方法と有効期限を解説
③試験日から逆算して学習時間を配分する
目標が決まったら受験日を先に設定し、そこから逆算して1週間あたりの学習時間を算出します。
本番までに余裕がある場合は、現在地と目標の差が最も大きい技能に学習時間の半分程度を重点的に割り当てましょう。残りの時間は他の3技能に配分し、全体のバランスをとります。模試を挟む週は、新しい問題演習よりも復習に時間を割くよう計画を調整してください。
もし本番までの期間が3か月未満と短い場合は、戦略を変える必要があります。正誤がその場で確認できるリスニングとリーディングを優先して固めましょう。この時間配分は一度決めたら終わりではありません。1か月ごとの模試結果に応じて、柔軟に計画を組み替えていくことが重要です。
④語彙と文法の学習を毎日の習慣にする
語彙と文法はすべての土台になります。4技能の演習とは別に毎日の固定枠を確保し、並行して学習を進めましょう。
ライティングとスピーキングの採点基準には、語彙と文法の観点がしっかりと含まれています。過去問の演習だけでは、この基礎力を補うことは困難です。
特にアカデミック・モジュールのリーディングは、論文やジャーナルなどの学術的な資料から出題されるため、日常会話向けの単語帳では範囲をカバーしきれません。語彙力は単語の暗記数ではなく、書く・話す際に自然に引き出せる数で測るようにしてください。
文法については、新しい参考書を頭から学ぶのは非効率的です。模試で間違えた文の型を一つずつ潰していく形で進めましょう。通勤や通学など、毎日確実に確保できる時間帯を1日の学習枠に固定してしまうのがおすすめです。
IELTSの試験形式と4技能の構成

学習計画を立てる前提として、IELTSの試験の種類と各技能の構成を正確に把握しておく必要があります。IELTSのモジュール(試験の種類)は2種類です。
アカデミック・モジュールは、英語で授業を行う大学や大学院に入学できるレベルかを評価します。英語圏での看護師や医師の登録申請にも使われます。
一方、ジェネラル・トレーニング・モジュールの用途は、英語圏での学業以外の研修や、オーストラリア・カナダ・ニュージーランドなどへの移住申請です。
これら2つのモジュールで試験問題が異なるのは、リーディングとライティングのみです。リスニングとスピーキングは共通の問題が出題されます。
また、受験方式にはペーパー版とコンピューター版があります。ペーパー版は鉛筆で解答用紙に記入し、コンピューター版はキーボードでタイピングして解答します。試験の結果は1.0から9.0のバンドスコアで評価されます。
| 技能 | 試験時間 | 問題数・パート数 | モジュールによる違い |
| リスニング | 約30分 | 40問・4パート | 共通 |
| リーディング | 60分 | 40問・3パッセージ | 異なる |
| ライティング | 60分 | 2課題 | 異なる |
| スピーキング | 11〜14分 | ― | 共通 |
関連記事:IELTSの難易度はどのくらい?難しいといわれる理由と技能別の難所を解説
IELTSの4技能別の勉強法
IELTSの4技能は求められる力が異なるため、同じ教材を通しで使うだけではスコアは均等に伸びません。技能ごとに最初にとるべき行動を1つ決め、そこから徐々に演習量を増やしていくのが着実な進め方です。
また、自分で正誤を採点できるリスニング・リーディングと、他者の目が必要なライティング・スピーキングでは、学習の進め方が大きく異なります。
- リスニングは音源を止めずに聞き取る
- リーディングは時間を計って設問から解く
- ライティングは課題ごとに型を決めて書く
- スピーキングは録音して答え方を直す
リスニングは音源を止めずに聞き取る
リスニングは4つのパートに分かれ、合計40問が出題されます。試験時間は約30分です。本番では音声が一度しか流されないため、日々の練習でも途中で音源を止めずに最後まで通して聞く形を習慣づけましょう。
解き終えたら必ずスクリプトを読み込み、聞き取れなかった箇所を特定します。その原因が語彙の不足なのか、あるいは音がつながったり消えたりする「音の変化」なのかを切り分けることが重要です。音の変化が原因である場合は、スクリプトを目で追いながら、流れる音声に自分の声を重ねて読む練習を繰り返して潰していきます。
試験を解く際は設問を先読みし、何を聞き取るべきか対象を絞り込んでから音源に集中しましょう。また、さまざまな国のネイティブスピーカーのアクセントが使われるため、特定の国の発音に偏らず多様な音声に触れておくことも大切です。
リーディングは時間を計って設問から解く
リーディングは3つのパッセージから合計40問が出題され、試験時間は60分です。単純計算で1パッセージあたり20分しかかけられないため、全文を丁寧に精読していると最後まで問題に到達できません。時間を計り、設問を先に読んで探すべき情報を決める順序で本文を素早く拾い読みして解き進めます。
設問形式は多肢選択、情報一致、True/False/Not Givenなど多岐にわたります。形式ごとに効果的な解き方が変わるため、形式別に分類して演習を積みましょう。また、モジュールによって出題される文章の性質も異なります。アカデミックでは学術的な資料、ジェネラルでは実用的な文書が出題されます。
文章の精読は時間を計って解き終えた後の復習に回し、分からなかった語彙はその場で調べて記録していきます。留学経験者のRisaさんは、ニュース記事を翻訳ツールで大まかに把握してから英文を読み、知らない単語をその日のうちに覚える学習を続けました。結果として、3〜4週目以降にリーディングとリスニングのスコアが伸び始めています。
ライティングは課題ごとに型を決めて書く
ライティングは2つの課題(タスク)で構成され、合計60分で解答します。アカデミックは視覚情報の説明とエッセイ、ジェネラルは手紙の作成とエッセイです。学習の第一歩として、課題ごとに段落構成の型を決めることから始めましょう。エッセイであれば序論・本論・結論の3部構成を基本とし、毎回その枠組みに当てはめて書く練習をします。
IELTSのライティングは「タスクの達成度」「一貫性と結束」「語彙リソース」「文法的な範囲と正確さ」の4つの観点で採点されます。自己流の構成ではこれらの観点を満たしきれません。さらに、書いた答案は他者に添削してもらうことで、どの観点でスコアを落としているのかを正確に把握する必要があります。
関連記事:IELTSライティング対策|採点基準とTask別の書き方・添削の受け方を解説
スピーキングは録音して答え方を直す
スピーキングの採点は、流暢さと一貫性、語彙力、文法的範囲と正確さ、発音という4つの観点で行われます。身近に練習相手がいない場合は、質問に対する自分の答えを録音し、聞き直して言葉に詰まった箇所を特定することから始めましょう。
言葉に詰まる原因によって対処法が異なります。話す内容自体が思い浮かばない場合は、頻出の話題ごとに自分の答えの骨子となるアイデアを日本語で用意しておきましょう。
言いたいことはあるのに英語の語彙が出てこない場合は、語彙の学習方法を「意味を覚える段階」から「実際の会話で使う段階」へと切り替える必要があります。
関連記事:IELTSスピーキングの試験内容と採点基準|パート別の例題と答え方
IELTSの勉強期間と1日の学習時間の目安

試験団体によると、IELTS対策コースなどを受講した場合、Overallスコアを0.5上げるのに平均3か月かかります。
伸びが特に大きかったのは、開始時のOverallが5.5未満で、週23時間(1日あたり約3.3時間)を超えて学習した層でした。週約60時間の学習を3か月続けてOverallが1.0上がった例もありますが、個別の一例です。
現在のスコアが高い人ほど、同じ0.5を上げるのは難しくなります。Overall7.0以上を目指す場合は3か月より長い期間を見込み、期間を確保できない場合は、受験日を後ろにずらすか、伸びやすい技能に絞って時間を割きます。
実際に、8週間の語学留学でOverallを3.0から6.0まで伸ばした例もありますが、これは1日の大半を学習に充てられる留学環境での結果です。仕事や学業と並行する場合は、より長い期間を見込みましょう。
関連記事:IELTS短期集中で上がるスコアの目安と講座・留学の選び方を解説
IELTS対策で使う参考書・問題集・単語帳の使い分け

IELTSの対策教材は、大きく分けて入門書、公式問題集、単語帳の3種類です。教材を買う際は、これらを適切なタイミングで使い分けることが大切です。
入門書は最初の1冊だけにとどめ、試験の形式や流れを大まかに把握したら、すぐに公式問題集へ移行しましょう。公式問題集は本番と全く同じ形式で作られているため、学習初期の現在地の測定と、試験直前期の実践的な演習の両方で活躍します。
単語帳を選ぶ際は、IELTSの出題範囲にしっかり沿っているものを選び、日常会話向けのものと混ぜないようにしてください。同じ種類の教材を何冊も買いそろえるよりも、良質な1冊を繰り返す方が語彙や解法の定着に効果的です。
具体的な教材を探す際は、日本英語検定協会が公開している参考書一覧(PDF)が参考になります。
無料で使えるIELTS学習アプリとサイト

IELTSの対策には費用がかかるイメージがありますが、無料で使える教材やアプリも多数あります。提供元によって強みやカバーできる範囲が異なるため、目的に合わせて賢く組み合わせることが大切です。
| 提供元 | 教材・ツール | できること | 向く技能 |
| 試験団体 | Familiarisationテスト | コンピューター版の画面操作の体験 | 全般 |
| 試験団体 | サンプル問題・解答PDF | 本番形式の設問の確認 | リーディング・ライティング |
| 日本英語検定協会 | サンプル問題PDF | 本番形式の設問の確認 | リスニング・リーディングなど |
| 日本英語検定協会 | IELTS Prep Apps | 隙間時間の語彙・文法学習 | リスニング・スピーキングなど |
本番と同じ形式を公式サイトで試す
試験団体は、自宅のパソコンで本番形式を体験できる「Familiarisationテスト」や解答付きPDF、サンプル問題を無料で公開しています。
これらに自動採点機能はありません。本格的な模試に取り組む前の画面操作や時間配分の確認として活用するのが効果的です。正誤の確認や復習は自分で行いましょう。
サンプル問題と学習アプリは無料で使える
日本英語検定協会も、問題や解答用紙、トランスクリプトが含まれたサンプル問題(PDF)を無料で公開しています。
また、同協会が案内する「IELTS Prep Apps」などの学習アプリは、通勤・通学などの隙間時間に行う語彙や文法の学習に最適です。まとまった学習時間を確保しにくい社会人や学生の強い味方になります。
無料で埋められないのは添削と会話の相手
無料ツールを活用する場合でも、ライティングの添削とスピーキングの実践相手は別途確保する必要があります。無料教材には採点機能がないため、答案に対する具体的なフィードバックは得られません。
また、アプリは発音や語彙の練習には役立ちますが、臨機応変な会話のやり取りまではカバーできません。対人での対策をうまく組み合わせて補いましょう。
IELTSの独学は添削が要る技能で行き詰まる

リスニングとリーディングは正誤が明確なため、独学でも復習まで完結できます。しかし、ライティングとスピーキングは複数観点で評価されるため、自分一人ではどの観点で減点されているのかを正確に把握できません。
実際に、独学で2か月勉強してOverallスコア7.0に到達したFuyukaさんも、一番苦手なライティングで独学の限界に直面しました。また、Overallスコア7.5から8.0を目指したMiyuさんも、語彙やフレーズを実践で使いこなす壁にぶつかりました。
この2名はいずれも独学でハイスコアに到達したのち、さらなる壁を越えるためにフィリピン(セブ)への留学を選択しています。独学を続けるか外部環境を活用するかの判断基準は、スコアの高さではなく他者の添削や対話が必要な技能で伸び悩んでいるかどうかです。
独学で添削や会話相手が要るならタビケン留学へ

こうした添削や会話の相手を継続的に確保する方法の一つが語学留学です。留学先は、毎日の授業と滞在生活のなかで、添削してくれる相手と会話する相手を確保できる環境です。
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まとめ:IELTSの勉強法は4技能の配分で決まる

IELTSの勉強法は、どの教材を選ぶかではなく、現在地の測定・目標の設定・4技能への時間配分で決まります。リスニングとリーディングは独学でもスコアを伸ばしやすい一方で、ライティングとスピーキングはどうしても他者による添削や、会話の相手が必要です。
次にやることは、公式問題集の模試を1回分、本番と全く同じ制限時間で解き、自分の現在地を測ることです。
もしすでに勉強を始めていて、添削と会話の相手が確保できずにスコアが伸び悩んでいる場合は、留学など環境を変える選択肢を検討してみてください。

















